「百日紅、夏が来たなぁと感じるお花」

1. 夏の訪れを知らせる花

「夏が来たなぁ」と思う瞬間は、人それぞれだと思います。
セミの声だったり、麦茶の香りだったり、ひんやりしたすいかの甘さだったり。
私にとってその合図は、いつもウォーキングの途中でふいに目に入る、あのふわふわチリチリしたピンクや白、紫の花なのです。

ふと見上げた空の下に、もこもこと咲いた百日紅(さるすべり)の花。
その姿を見たとき、私は毎年「ああ、夏が来たんだな」と心から感じます。

濃い陽射しに照らされた道端で、風に揺れる花の房。どこか懐かしくて、ほっとする光景。
梅雨明けとともに始まる百日紅の季節は、まさに夏そのものを体現しているかのようです。


2. 百日紅という、夏の風物詩

百日紅という名前は、「百日間も花を咲かせる」ことに由来します。
7月から9月にかけて、真夏の炎天下でも元気いっぱいに花を咲かせるたくましい木です。
その姿は、むしろ暑さを楽しんでいるかのようですらあります。

ピンクだけでなく、白や紫などさまざまな色があり、どの色も夏の空にとてもよく映えます。
個人的には、真っ青な空の下に広がる濃いピンクの百日紅が一番好きです。

他の花が暑さでぐったりし始めるこの季節に、むしろ勢いを増して咲いていく姿を見ると、
「夏っていいな」と素直に思えてくるから不思議です。


3. 名前の由来と、すべすべの木肌

百日紅は漢字で「猿滑」と書きます。読み方は「さるすべり」。
このちょっとユーモラスな名前も、また親しみを感じる理由のひとつです。

名前の通り、幹は驚くほどつるつる。
まるで陶器のような滑らかさで、触れるとひんやりと冷たく、夏の暑さを忘れさせてくれます。

木肌と花のコントラストがなんとも涼しげで、見ているだけで心が整っていくようです。


4. 花言葉に込められた夏のメッセージ

百日紅には、いくつかの花言葉があります。

  • 「雄弁」
  • 「愛嬌」
  • 「あなたを信じる」
  • 「潔白」

「雄弁」という花言葉は、夏の青空の下で堂々と咲き誇る百日紅の姿にぴったりです。
言葉を使わなくても、その美しさだけで語りかけてくるような強さと優しさを持っています。

そして「あなたを信じる」。この花が持つ、まっすぐな強さと誠実さを感じる言葉です。
どんなに暑くても、雨が続いても、必ず咲いてくれる百日紅は、信じることの大切さを教えてくれるような気がします。


5. 散歩道での、季節の出会い

毎朝のウォーキングで、最初に百日紅を見つけるのは6月の終わりごろ。
「もうすぐ夏だな…」と思いながら歩いていると、ある日ふと、一輪だけ咲いているのを見つけます。

そこからあっという間に木いっぱいに花が広がり、通りの風景がぱっと明るくなります。
その変化を見るのが、私にとって夏のささやかな楽しみです。

花の下を通ると、ほのかに甘い香りが風にのって届いてきます。
陽射しがまぶしく、蝉の声が響き、汗をかきながら歩く――。
そんな何気ない夏の日にこそ、百日紅の美しさが心に沁みます。


6. 「夏を感じる」ということ

今の暮らしでは、季節の移ろいを感じにくくなっているかもしれません。
エアコンの効いた部屋、スマホの画面、冷たい飲み物。
気づけば、外の空気を感じる時間がとても少なくなっていることに、はっとします。

だからこそ、百日紅の花に出会えるウォーキングの時間は、私にとってとても貴重です。
汗をぬぐいながら空を見上げると、そこに変わらず咲いている花がある。
それは、時間や季節の流れを教えてくれる、自然からの優しい合図です。

「今年も咲いてくれてありがとう」と、思わず声をかけたくなります。


7. 来年も、また会えますように

百日紅は、私にとって“夏の道しるべ”のような存在です。
季節の入り口に立ち、私をそっと迎え入れてくれる。
そんな花に、毎年会えることが嬉しくてなりません。

「夏が来たなぁ」――
そう思わせてくれる風景が、日々の中にあるという幸せ。

来年もまた、同じ場所で同じように咲いてくれると思うととても楽しみです。


お読みいただいてありがとうございます。