「パワーか、フォースか」を読んで気づいたこと②

感情のスケールと、自分の心の持ち方について―

はじめに:この本に出会ったきっかけ

人は生きていれば、誰しも心が揺れ動く瞬間があります。悲しみや怒り、焦り、不安。あるいは、感謝や喜び、静けさ、愛。私も例外ではなく、人生の中で多くの感情を味わってきました。特に、何かに迷い、自分自身に問いかけるような時期に、ふとしたきっかけで出会ったのが『パワーか、フォースか』(デヴィッド・R・ホーキンズ著)という一冊でした。

ある日、ネットサーフィンをしていたとき、偶然この本の存在を知り、「人の意識や感情にはスケール(階層)がある」という言葉に強く惹かれました。半信半疑で読み始めましたが、その内容は、私にとって一つの転機となるような深い気づきを与えてくれるものでした。

本の概要:パワーとフォースの違い

本書のタイトルにある「パワー」と「フォース」は、一見似たような意味に感じられるかもしれませんが、著者ホーキンズ博士は明確に区別しています。

  • パワー(Power):自然に内側から湧き出る力。愛、真実、勇気、平和などに基づくもので、調和と創造をもたらす。
  • フォース(Force):外側から他者に強制する力。怒り、傲慢、恐れ、欲望などに基づくもので、対立や分裂を生む。

フォースは一時的な強さを持つかもしれませんが、持続的ではなく、周囲に負担をかける性質があります。一方、パワーは目に見えづらいものの、持続性があり、人生や人間関係を根底から支えてくれるものです。

感情のスケール表:意識のレベルを知るための地図

本書の中でも特に印象的だったのが、「意識のマップ(Map of Consciousness)」とも呼ばれる、感情や意識のスケールです。

レベル 意識の状態 感情 キーワードの一覧

○700-1000 悟り 完全な平和 真我、非二元性

○600 平和 静寂 内なる光

○540 愛 無条件の愛 他者への深い共感

○ 500 理性 理解 意志と知性

○ 400 受容 許し 寛容、柔軟性

○ 350 意欲 楽観 開放性、希望

○310 中立 安心 柔軟、自由

○250 勇気 肯定感 行動の原動力

○200 プライド 自尊心 自己正当化

ここまではうまく行きやすい↑ 


ここからは↓うまくいきにくい

○175 怒り 憤り 攻撃性

○150 欲望 欲求 執着、依存

○ 125 恐れ 心配 防衛

○100 悲しみ 嘆き 絶望 ○75 無感動 無気力 逃避

○50 罪悪感 自責 恥ずかしさ

○ 20 恥 屈辱 自己否定

この表を見て、「高い意識レベルでいなければいけない」と感じる必要はありません。むしろ大切なのは、今の自分がどこにいるかを素直に認め、その状態を受け入れ、より高い意識に向かって進もうとする姿勢です。

これを見て私も、過去のことを振り返り思い出してみると、うまくいかないからこの感情にいるのではなく、この感情の場所にとどまっているから、うまくいかなかったり、うまくいくのではないか?と言うことに気づいたように思います。

自分を測るのではなく、気づきのための道具として

このスケール表を初めて見たとき、「人を測る道具になってしまわないか?」という懸念も頭をよぎりました。でも読み進めるうちに、ホーキンズ博士の意図は全く違うところにあると気づきました。

これは「他人を評価するもの」ではなく、「自分の心のあり方を見つめ直すためのガイド」なのです。人間は常に変化し、感情もまた流動的です。落ち込む日もあれば、前向きになれる日もあります。それが自然です。

重要なのは、「自分の内側で起こっている感情や反応を、ただそのまま観察し、意識的により良い方向を選んでいこうとすること」。このプロセスにおいて、意識のスケールはとても役立ちます。

自己責任と、心の持ち方の選択

感情は、自分の外で起きた出来事に対する「反応」として現れます。しかしその反応の仕方は、最終的には自分自身が「選択」しているのです。

たとえば、他人の言動に怒りを覚えたとき、その怒りに呑まれて相手を責めることもできますが、「なぜ自分はこれほど反応しているのか」と内省し、自分の傷や価値観に気づくチャンスとすることもできます。

私たちには、自分の感情に責任を持ち、自分の心の状態を意識的に選び取る力があります。それが、「パワー」を生きるということだと感じました。

自分が変われば、周りも変わる

「自分さえよければいい」という意味ではありません。むしろ、自分の心の状態が穏やかで、愛や感謝に満たされているとき、自然とそのエネルギーが周囲に伝わっていきます。これは目に見えなくても、確かに実感できるものです。

逆に、怒りや不満ばかりを抱えていると、周囲との関係もうまくいかなくなるものです。

自分を整えることが、結局は人間関係や仕事、家庭、社会全体に良い影響を与える。

この本を通して、そのことを深く理解できたように思います。

おわりに:心の静けさは、自分の中にある

『パワーか、フォースか』は、単なるスピリチュアル本ではなく、「どう生きるか」「どう在るか」を問う、非常に実践的な哲学書だと感じました。

これからも、完璧を目指すのではなく、今の自分を受け入れ、少しずつ心の在り方を整えていくことを大切にしていきたいと思います。

そして、その積み重ねが、きっと自分自身の人生を、そして周囲の人たちの人生にも、温かな光をもたらしてくれると信じています。

この、感情のレベルを私は紙に書いて、たまに見るようにしています。

そして、たまに、自分を客観的に観察し内観することにしています!